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🧮 計算例集(シーン別)|ND 計算と長秒露光のリアルな設定値

「このシーンなら、どのNDを付けて、何秒になるのか」を最短で知りたい人のための計算例集です。実際の現場でよく出会う6つの場面ごとに、元のシャッタースピード、選ぶフィルター、計算式、そして実際の露光時間までをまとめました。同じ数値をNDLabに入れれば、その場で同じ答えが出ます。

NDLab で実際の露光時間を計算する

この計算例集の使い方|共通ルール

長秒露光の計算はとてもシンプルです。実際の露光時間は「元のシャッタースピード × 付けたフィルターの倍率の積」で求まります。ND400なら×400、ND1000なら×1000、複数枚重ねるときはそれぞれの倍率を掛け合わせるだけです。

たとえばND400とND4を重ねれば、倍率は400×4=1600倍になります。CPL(偏光)を併用するときも考え方は同じで、標準CPLは約×4、薄型は約×2.83、超薄型は約×2.3として掛けていきます。

本ページのすべての表は「元のSS」「フィルター」「計算」「実際の露光時間」の順で並んでいます。元のSSとは、フィルターを付けない素の状態で適正露出になるシャッタースピードのことです。まずNDなしで測光し、その値を起点に計算してください。

明るさが変われば最適なNDも変わります。同じ被写体でも、晴天の真昼と曇天や日陰では数段ぶん差が出ます。各シーンの末尾に、明るさが違う場合のND選び替えの目安を添えました。迷ったら、まず手持ちの一番濃いNDで試し、長すぎたら一段薄いものへ、短すぎたら重ねる、という順で詰めると早いです。

なお、ここで示す秒数は計算上の理論値です。ND1000クラスの超高倍率では、フィルターの個体差や薄暮の光量変化で実測がずれることがあります。最終的には背面液晶のヒストグラムで確認し、半段〜一段の微調整を前提にしてください。NDLabはオフラインで動く無料のPWAなので、電波の届かない海辺や渓谷でもそのまま計算できます。

1. 朝日・夕日の海を絹のような波に

海 絹のような波 撮影の王道は、波の動きを30秒〜2分ほどかけて溶かし、水面を霧のように均すことです。砕ける波の白い筋が消え、海全体がなめらかなマット面に変わります。朝夕のマジックアワーは光が刻々と弱まるので、同じ設定でも数分後には露光が伸びる点に注意してください。

起点は素のSSで測光し、狙う秒数から逆算してNDを選びます。日没直後で素のSSが1/2秒まで落ちていれば、ND400で200秒(3分20秒)に届きます。まだ明るく1/250秒なら、ND1000を付けても4秒と短いので、もう一段稼ぐためにND1000+ND4のような重ねづかいが効きます。

コツは三脚を波打ち際から少し下げ、寄せ波が脚を揺らさない位置に据えること。長秒中はレリーズかセルフタイマー、必要ならミラーアップで微ブレを断ちます。

  • 明るさ別の選び替え:真昼の逆光ならND1000を基準に、足りなければND4を重ねて×4000へ。
  • 薄暮で素のSSが遅いときはND400で十分。ND1000だと数分を超えて雲が流れすぎることも。
海の絹のような波|ND 計算の例
元のSSフィルター計算実際の露光時間
1/250秒ND1000(×1000)1000 ÷ 2504秒
1/30秒ND1000(×1000)1000 ÷ 30約33秒
1/15秒ND1000(×1000)1000 ÷ 15約67秒(1分7秒)
1/2秒ND400(×400)400 ÷ 2200秒(3分20秒)

2. 流れる雲を一本の帯にする

雲 流れる 撮影では、数十秒から数分の露光で雲の動線を一本の帯に伸ばします。風が強い日ほど短い秒数でも流れ、弱い日は長めが必要です。空の面積が広いと白飛びしやすいので、ハーフNDやRAW現像での復元も視野に入れます。

真昼で素のSSが1/250秒なら、ND1000単体では4秒で雲の流れが足りません。1/30秒程度まで落ちる時間帯ならND1000で約33秒となり、ほどよく伸びます。さらに長くしたいときはND400 ND1000 組み合わせ(×400000)まで踏み込めますが、まずはND1000を基準に、足りなければND4やND8を重ねて段階的に伸ばすのが安全です。

コツは構図に「動かない要素」を一つ入れること。岩や建物、灯台などの静止物があると、流れる雲との対比で長秒の効果が際立ちます。

  • 明るさ別の選び替え:曇天で素から暗ければND400で数十秒に届く。快晴ほどND1000や重ねが必要。
  • 雲の流れが弱い日は、ND1000+ND4で1〜2分まで伸ばすと帯がはっきり出る。
流れる雲|長秒露光 計算の例
元のSSフィルター計算実際の露光時間
1/250秒ND1000(×1000)1000 ÷ 2504秒
1/30秒ND1000(×1000)1000 ÷ 30約33秒
1/125秒ND1000+ND4(×4000)4000 ÷ 12532秒
1/15秒ND1000(×1000)1000 ÷ 15約67秒(1分7秒)

3. 滝・渓流を白い糸にする

滝 撮影 NDの定番は、1/4秒〜数秒で水を白い糸状に流すことです。秒数を伸ばしすぎると水が完全に白くつぶれて立体感が消えるため、滝の規模に応じて0.5〜2秒前後を狙うと質感が残ります。森の中は元々暗く、曇天ならNDなしでも狙いの秒数に届くことがあります。

曇天や日陰で素のSSが1/30秒なら、ND8で約0.27秒(およそ1/4秒)と、ちょうどよい流れになります。木漏れ日で明るく1/8秒のときは、ND64で8秒まで伸ばせます。開けた場所で滝に陽が当たり1/250秒と明るい場合は、ND400で1.6秒あたりに収めます。

渓流では水面のテカりが白飛びの原因になります。後述のCPLを薄く効かせると、濡れた岩や落ち葉の色が戻り、画がぐっと締まります。

  • 明るさ別の選び替え:暗い森ならND8〜ND16で足りる。陽が差す滝つぼではND400で1〜2秒に。
  • 水量が多い滝は短め(0.5〜1秒)、糸のように細い流れは長め(2〜4秒)が映える。
滝・渓流|ND 計算の例
元のSSフィルター計算実際の露光時間
1/30秒ND8(×8)8 ÷ 30約0.27秒(約1/4秒)
1/8秒ND64(×64)64 ÷ 88秒
1/4秒ND16(×16)16 ÷ 44秒
1/250秒ND400(×400)400 ÷ 2501.6秒

4. 街灯・車のテールランプの光跡

光跡 撮影では、走る車のヘッドライトやテールランプを数秒〜数十秒かけて一本の光の線に変えます。夜間で十分に暗ければNDなしでも数秒〜十数秒の露光が組めますが、マジックアワーや明るい街では露出オーバーになるため、ND8〜ND64で光量を落として秒数を確保します。

薄暮で素のSSが1/4秒なら、ND64で16秒となり、交差点を抜ける数台ぶんの光跡をつなげられます。まだ明るく1/15秒なら、ND400で約27秒まで伸ばせます。完全な夜で素から1/2秒まで落ちていれば、ND8で4秒と扱いやすい長さです。

光跡は「車が来るタイミング」で露光を開始するのがコツ。F8〜F11に絞ると点光源が綺麗な放射状になり、街灯のにじみも抑えられます。

  • 明るさ別の選び替え:真っ暗な深夜はNDなしでバルブ撮影、薄暮はND8〜ND64で秒数を調整。
  • 光跡が途切れるときは、車の流れが多い時間帯を選ぶか、複数枚を比較明合成でつなぐ。
光跡|長秒露光 計算の例
元のSSフィルター計算実際の露光時間
1/2秒ND8(×8)8 ÷ 24秒
1/4秒ND64(×64)64 ÷ 416秒
1/15秒ND400(×400)400 ÷ 15約27秒
1/30秒ND400(×400)400 ÷ 30約13秒

5. 観光地で人物を消す

人物消し 長秒は、観光地の雑踏から「動いている人」を消すテクニックです。数十秒以上の露光をかけると、歩く人はセンサー上の各位置に短時間しか写らず、背景に溶けて見えなくなります。立ち止まる人や座っている人は残るため、人が流れ続ける場所と時間帯を選ぶのが前提です。

真昼の広場で素のSSが1/125秒なら、ND1000で8秒。これでは短いので、ND1000+ND4(×4000)で32秒まで伸ばすと、歩行者がかなり消えます。さらに消したいときはND1000を二段構え(ND400 ND1000 組み合わせ)にしたり、長辺の明るさを抑えるためにCPLを足して秒数を稼ぎます。素のSSが1/15秒の日陰なら、ND1000+標準CPL(×4000)で約267秒(4分27秒)と、ほぼ無人化が狙えます。

完全に一発で消すのが難しい場面では、同じ構図で複数枚撮り、メディアン合成で人を除去する方法も併用すると確実です。

  • 明るさ別の選び替え:真昼はND1000+重ねで数十秒以上を確保、夕方はND1000単体でも届く。
  • 人の流れが速い動線(駅・交差点)ほど短い露光でも消えやすい。
人物消し|ND 計算とCPL併用の例
元のSSフィルター計算実際の露光時間
1/125秒ND1000(×1000)1000 ÷ 1258秒
1/125秒ND1000+ND4(×4000)4000 ÷ 12532秒
1/15秒ND1000+標準CPL(×4000)4000 ÷ 15約267秒(4分27秒)
1/30秒ND1000+ND4(×4000)4000 ÷ 30約133秒(2分13秒)

6. 反射を抑えつつ長秒(CPL併用)

水面や濡れた岩のテカりを抑えながら長秒露光したいときは、CPL(偏光フィルター)をNDに重ねます。CPLは反射光をカットして水の透明感や葉・岩の色を引き出すと同時に、約1.2〜2段ぶんの減光効果も持つため、露光時間がさらに伸びます。ND16 + CPLのような組み合わせは、渓流や磯場の定番です。

計算は倍率の掛け算で統一できます。標準CPLは約×4、薄型は約×2.83、超薄型は約×2.3です。素のSSが1/8秒でND16+薄型CPL(16×2.83=×45.3)なら、45.3÷8で約5.7秒。1/500秒という明るい水面でも、ND1000+標準CPL(×4000)なら8秒に届きます。1/15秒の渓流でND400+標準CPL(×1600)にすると、約107秒(1分47秒)の本格的な長秒になります。

CPLは回転させて反射の消え具合を確認しながら使います。広角では空のムラが出やすいので、効きを少し弱めて自然に仕上げるのがコツです。

  • 明るさ別の選び替え:明るい水面はND1000+CPLで反射除去と長秒を両立、暗ければND16+CPLで十分。
  • CPLは前玉に近い側、NDはその外側に重ねると操作しやすい。
反射を抑える長秒|ND × CPL の合算計算例
元のSSフィルター計算実際の露光時間
1/500秒ND1000+標準CPL(×4000)4000 ÷ 5008秒
1/8秒ND16+薄型CPL(×45.3)45.3 ÷ 8約5.7秒
1/15秒ND400+標準CPL(×1600)1600 ÷ 15約107秒(1分47秒)
1/250秒ND400+ND4(×1600)1600 ÷ 2506.4秒

そのままNDLabで計算する

ここで示した「元のSS × フィルター倍率の積」は、すべてNDLabの計算機がリアルタイムで処理する式と同じです。元のシャッタースピードと使うフィルターを選ぶだけで、本ページの実際の露光時間と同じ値がその場で表示されます。

NDLabはオフラインで動く無料のPWAです。電波の届かない海辺や渓谷、山中の滝つぼでも、ブラウザを開けば即座にND 計算と長秒露光 計算ができます。気になるシーンの数値を入力して、現場での試写の起点にしてください。